「徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑」前半エピソードでは、残忍な奉行に仕える与力の弥吉に、 長島隆一。
「玉割り人ゆき 西の廓夕月楼」では、伊藤晴雨役を好演していた人。
与力の一人がキリシタンの娘と密通しているところを見つけ、その一族郎党を次々と陥れていく張本人である。この人、単に画面から消えていくだけの「悪役」にとどまらず、表情から所作まで実に達者に印象に残していく。 |
弥吉は、キリシタンの娘と密かに逢瀬を重ねていた若い与力に探りをかける。
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堂々とねめつけるが、相手は平然さを押し通す。 |
弥吉、そのまま目を離さず横へまわり、ちろっと舌を出すこの表情。
さながら蛇のような執念深さである。 |
やがて奉行の側女となった娘が、駕籠で運ばれ行く。
そこへ刑罰を逃れたあの若い与力が、抜刀して駆け寄ってくる。 |
恨めしい弥吉めがけて、一太刀報いようとするが・・・。
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何故かそのチャンスを逸してしまい、娘も救えないばかりか、結局捕らえられて、己も刑場の露と消えていく。
・・・てのが、この作品の前半部。
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そうして、なんの脈絡もなく、後半部が始まる。
こちらは悪辣な女郎屋の楼主と使用人の虎吉。ここでは若い木谷邦臣が出演中。
彼のたくましい晒し巻き姿をしばし鑑賞。
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足抜けをしようとした女郎とその相方をこれから折檻するところ。
何やら、にやにや示しあわせとります。
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そそのかした男の大事なモノを、見せしめにこれから切断しようという・・・。
うーん、やはり正視できない・・・。
ここで無理やり、「切断」する役目を担ったのが、女郎屋の客から使用人に身をやつしていた捨蔵こと川谷拓三。
実は拓ボンは同じシチュエーションで、全く逆に自分のモノを切られる側の役を演じたこともある。(「玉割り人ゆき」の六造役)
近い年代に制作されたそれらの作品群で、意図的なのか偶然なのか、彼は双方の立場を演じることになっていた。 |