「徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑」の後半は川谷拓三の逃亡劇になるが、彼の個性ならでは、行き当たりばったりバタバタとドジの連発である。
足抜けさせた女には、とうとう美人局をさせている体たらくであった。
そんなある日、明らかに今日の相手客にすっかり気をやってしまっている女。執拗な責めに思わず本気のあえぎ声が漏れる。密かに見守る川谷演じる捨蔵は気が気でならない。 |
毛深い男の脚が女の脚を開いていく。
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女を組み敷いた伝兵衛を演ずるは有川正治。 |
恍惚とした女の顔から目を離そうとしない。
毛深い背中にも、毛が密生している。
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女を見つめたまま乳房を口に含み、
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ねぶるかと思いきや、やおら吸い上げる。
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こんな最中なのにも関わらず、女の表情を伺いながら。
この視線の演技!
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と。そこへ「夫」捨蔵が飛び込んできて、どやしつける。
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ゆっくりと身を起こす伝兵衛。
いささかも慌てない・・・。
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立派な胸毛をさらけ出す。拓ボンとの比較が面白い。
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思わずやめないで、と懇願する女。
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ここぞとばかりに捨蔵が説教をはじめるが、どうも空回りだ。
一方、男、全く動じない。
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話を、笑って受け流している。
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捨蔵の話が一通り終わったところで、ふと真顔に戻り。
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気まずい空気をなんとなく察知する捨蔵。 |
自分が同心であることを明かし、二人を取り押さえる。
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もがく二人だが、もはやどうすることもできない。
裸のまま不埒モノを取り押さえるが、濃い胸毛が否応にも目立つ有川正治。
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余談:ある人曰く、日本で許される胸毛は長嶋茂雄と加山雄三だけということだったが、いやいやどうして、東映の悪役には山ほどその向こうを行く、胸毛役者が揃っているのですよ、うん。
さて脱線した話のついでに。
このあと、鋸惹きの刑に処されることになった拓ボン演じる捨蔵は、あろうことか以前女郎屋で渋々ながらイチモツを切り落とした当人と刑場で再会してしまい、彼に鋸を引かれて絶命してしまうのであった。(この復讐シーンは、「玉割り人ゆき」のラストと逆の立ち場になっており、某国営放送の大河ドラマ「黄金の日々」でも、奇しくも拓ボンの「善住坊」が、鋸惹きの刑で死亡することになる。拓ボン・シンクロニシティである。) |