王様の黄金褌

王様の黄金ふんどし

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王様ご開帳ミュージカルにだって「ふんどし」は登場する。

某劇団の「はだかの王様」である。

子ども向けのミュージカルだって、ある種の毒は必要だ。オトナの世界の怖さも知ることがある。アンデルセンの童話が良い証拠だ。

だから、このミュージカルだって、あるはずのない王様のお召し物を縫っていた工房の怖さなんて今でもトラウマである。暗めの照明下に顔のように浮かび上がる工房のネオンライトのような気味の悪さといったら・・・。

では、本題。毒があり、かつ扇情的な「はだか」をどう表現するか・・・。

そう「ふんどし」以外にない!(笑)

王様仁王立ちアンデルセン原作なのだから、絵本の中では大抵、王様は「ダボパン」をはいている。

「はだか」のはずだが、教育的配慮(なのか?)で「ダボパン」をはいている。

このミュージカルの素晴らしいところは、現在の公演に至るまで王様が「ふんどし」姿なのだ。この時の公演ではなんと、目もくらむ「黄金ふんどし」!(最近の演出では赤フンにもなっているようだが、やはり「黄金」が良い、王様だもの)

そもそもからして、西洋絵画風の腰巻き褌でもなく、はたまた巷の親父がゆる~く着用していた越中褌でもなくて、きりりと締め込んだ「六尺ふんどし」を採用した演出家には脱帽である。

当時子供だった私は、この王様(岡本)バージョンを観たときは、おおいに度肝を抜かれたものだ。何故にパンツでなく褌なのか。それもそのはず、台本はアングラ劇で名を馳せたあの方である。例えば、役名全てが身につけるモノの和名になっていて、「ステテコ」という登場人物がいたりして、少々「昭和」のニオイすらある。その名前は現在も変わらないようだ。(いや、変えてはいけない)

もちろん正当派ブランドの劇団故、歌も演技も遜色などないが、あやうく「書を捨てよ、町へ出よう」的になる前に、子供向けミュージカルに踏みとどまった風情。それがこのミュージカルの毒。

尚、六尺姿も凛々しい王様はすでに退団されている。

王様開き直りさて、主人公が褌以外全裸のミュージカルなんておそらく観客も驚くだろうが、王様が裸になった途端、会場の子ども達は大笑いである。ましてや現代の子どもの多くは褌なんて知らないだろうし・・・。

当然、セクシャルな反応などあるわけがないのだが・・・。

王様つまみあげるあるわけがない、あるわけがない・・・そう、あるわけがない衣服を、見栄から「ある」と思いこまされる王様。
王様つまみあげる2
王様にきせかける
王様にきせかける2
王様心配でもやっぱり、ヘンだな・・・。
王様疑心暗鬼だから、鏡を勧められると躊躇する。
王様疑心暗鬼2自らの裸をみてしまい・・・。
王様やっぱり恥ずかしいいやん、やっぱり恥ずかしい・・・。
王様やっぱり恥ずかしい思いっきり観衆に尻を向けて、奥へ進む王様。またしても観客は爆笑。

ここが越中褌やパンツなら、ここまでは笑わない。おそるべし演出!

 

ご存じの通り、この後、王様に悲劇が・・・。

 

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