アンデルセン原作なのだから、絵本の中では大抵、王様は「ダボパン」をはいている。
「はだか」のはずだが、教育的配慮(なのか?)で「ダボパン」をはいている。
このミュージカルの素晴らしいところは、現在の公演に至るまで王様が「ふんどし」姿なのだ。この時の公演ではなんと、目もくらむ「黄金ふんどし」!(最近の演出では赤フンにもなっているようだが、やはり「黄金」が良い、王様だもの)
そもそもからして、西洋絵画風の腰巻き褌でもなく、はたまた巷の親父がゆる~く着用していた越中褌でもなくて、きりりと締め込んだ「六尺ふんどし」を採用した演出家には脱帽である。
当時子供だった私は、この王様(岡本)バージョンを観たときは、おおいに度肝を抜かれたものだ。何故にパンツでなく褌なのか。それもそのはず、台本はアングラ劇で名を馳せたあの方である。例えば、役名全てが身につけるモノの和名になっていて、「ステテコ」という登場人物がいたりして、少々「昭和」のニオイすらある。その名前は現在も変わらないようだ。(いや、変えてはいけない)
もちろん正当派ブランドの劇団故、歌も演技も遜色などないが、あやうく「書を捨てよ、町へ出よう」的になる前に、子供向けミュージカルに踏みとどまった風情。それがこのミュージカルの毒。
尚、六尺姿も凛々しい王様はすでに退団されている。 |